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優秀賞

「みんなで食べるからこそ」

兵庫県 中学校一年

私の兄はケトン食療法をしていました。
ケトン食療法とは、ケトン体を糖分の代わりに脳のエネルギーとして活用できる状態に人為的にすることで治療に応用するために行われることです。兄の場合は、てんかん発作を減少させることを期待して始められました。

ケトン食を始めると食べられるものに限りが出てきます。白ご飯は勿論のこと、果物やジュースも駄目、見ている私も好物が食べられないと思うと辛い気持ちになりました。

皆と同じ物を食べる、といういつもは気付かない程「当たり前」なことが出来なくなってしまった兄。毎日、別世界からやってきた様なごはんが食卓の上にのっていました。

そういう不思議で、異常な毎日が続いていたある日。その日は、兄の誕生日でした。誕生日くらい、甘い物を一緒に食べたい。兄にはろうそくだけ消してもらって、私達だけで食べるという選択肢も無いわけではありません。でも、一緒に同じ物を食べて、祝うということのために「誕生日ケーキ」は存在するのではないか?私はそう思い、父に言いました。「ケトンケーキをつくろう」と。家にあるケトン食レシピ本で、ケトン食でもたべられるケーキがあることを知っていたからです。

今まで何度かケーキを手作りしていましたが、ケトン食のケーキだったのでやはり難しかったです。でも、今日こそは兄にも、という気持ちが強く、そう思っていたらいつも面倒に思っていた作業も楽しく思えました。

「誕生日おめでとう」の声。食卓におかれたケーキ。市販のケーキほど綺麗ではないけれど、とても美味しかったし、兄も久しぶりに食事の時笑ってくれ、大成功でした。

みんなで食べるからこそ。美味しさを共有し、同じ時間を共有できる。「同じ物を食べる」という当たり前で、でも幸せなことをケーキというお菓子によって体験することができました。幸せを共有するちから。小さなお菓子たちには、大きなちからがありました。

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食べものに、もたいないを、もういちど。お菓子の賞味期限は、美味しく食べられる目安を示すものであり、これを過ぎても食べられなくなるわけではあり ません。 現在、日本では「もったいない」 を合言葉に、 食品ロス削減運動が展開されています。 菓子産業は、 この 運動の一環として、 食品ロスを減らす取り組みを行っています。