「本物のクッキー」
東京都 小学校六年
私は母にだまされていたのです。母はよくおやつにパンの耳を油で揚げてお砂糖をまぶしたものを「さあ、クッキーよ」と言って出してくれました。私もそれが大好きでした。お店で並んでいる本物のクッキーは私のなかでは全く別の種類の食べ物だと思っていました。そんな3年生のある日、近所の友達の家へ遊びに行くと、友達のお母さんが自家製クッキーを焼いたと言っておやつに出してくれました。初めて食べる本物のおいしさに驚き、その喜びように友達のお母さんも「また作るから持って帰っていいよ」と言ってたくさん包んでくれました。家へ帰って母に見せ、「お母さん、これがクッキーだよ。いつものはニセモノじゃん!」と少し怒った口調で言いました。すると母は平然として「あらあら、何言ってるの、それは『ビスケット』でウチのは『クッキー』よ」と言いました。「あ、そうなんだ」とその後さらに2年ほど私は母にだまされつづけていたのでした。
