「心をつなぐパインケーキ」
宮崎県 中学校三年
私には、お菓子を食べるたびにふと思い出す、心に残っている出来事がある。それは、家族旅行中に出会った台湾人の夫婦と、パインケーキにまつわる思い出だ。
家族で旅行に行ったとき、宿泊していたホテルのエレベーターで、何度か同じ台湾人の夫婦と一緒になった。最初は軽く会釈をする程度だったが、何度も顔を合わせるうちに、お互い自然と顔を覚えるようになった。ある朝、朝食会場でもその夫婦と再会し、二人から話しかけてくれたことをきっかけに、少し英語が話せる母と会話が始まった。
私は英語が得意ではなく、外国の方だと思うと緊張してしまって、会話に入ることはほとんどできず、そのときはそばでやり取りを見ているだけだった。しかし、簡単な英語や身ぶり手ぶり、そして笑顔を使いながら交流する母の姿を見て、言葉や発音が完璧でなくても「伝えたい」「話したい」という気持ちがあれば、その気持ちは伝わるのだと感じた。短い時間だったが、相手との距離が少しずつ縮まっていく様子がとても印象に残った。
別れ際、その夫婦は台湾で有名なお菓子だと言って、私たちにパインケーキをプレゼントしてくれた。家に帰ってから家族でそのパインケーキを食べると、甘さの中にほどよい酸味があり、とても美味しかった。その味と同時に、旅行中の出来事や温かい雰囲気がよみがえり、心があたたかくなった。
話した時に連絡先を交換してから、今でも母はその台湾人の夫婦と時々連絡を取り合っているそうだ。国や言葉の違いを越えて関係が続いていることに、私は深い感動を覚えた。
現在の日本には、多くの外国の方が訪れたり、暮らしたりしている。だから、今も英語は苦手だけれど、母のように伝えようとする気持ちを持って、外国の人とも話せるようになりたいと思う。そして、いつか台湾に行き、現地の空気を感じながら本場のパインケーキを味わい、この出会いを思い出したい。
